遺留分侵害額請求を受けたケースで、遺言執行手続及び不動産の適正評価を迅速に行い、 円滑な和解成立に至ることができた事例
依頼者属性
〇年齢・性別:50 代と 20 代(親子)・男性
〇被相続人との関係:子、孫
〇相手方:被相続人の子
〇居住エリア:千葉県
〇争点:遺言執行手続、不動産評価
相談から解決までにかかった期間
約 1 年
相談に至った経緯
被相続人(相談者親の父、相談者子の祖父)が亡くなったところ、被相続人は、自宅不動
産を含む遺産の全てを相談者親子に半分ずつ取得させる旨の自筆証書遺言を残していまし
た。
そうしたところ、遺言内容に不満を持つ被相続人の子(相談者親の弟であり、相談者子の
叔父)のが、代理人弁護士を通して、遺留分侵害額請求を行ってきたため、対応に困った
相談者は当事務所に相談されました。
当事務所では、相手方による遺留分侵害額請求権の行使自体を争うことは難しいものと判
断し、遺留分侵害額請求権行使に対して相応額の支払いを行い、これにより相手方との間
で早期円滑な和解を行うことを基本方針として設定しました。
その上で、遺留分侵害額請求に対する支払原資を確保するため、遺産のうちの金融資産を
早期に換価することを目指し、まずは家庭裁判所に対する自筆証書遺言の検認申立てを行
い、検認手続が終了次第、次いで相談者親を遺言執行者候補として、遺言執行者選任申立
てを行いました。
遺言執行者選任申立てを行ったのは、本件自筆証書遺言が相談者子に対する遺贈を含むも
のであり、遺言内容の実現には遺言執行者選任申立てが必要と考えられるためです。
その結果、無事に相談者親が遺言執行者に選任されたため、当事務所の弁護士が遺言執行
者代理人として、各金融機関における相続手続を実施し、解約払戻し手続を早急に行いま
いした。
また、同時並行で、被相続人の自宅不動産について、不動産業者を通じて査定資料を取得
しました。査定資料の取得に際しては、建物が老朽化していることや相当の残置物が存す
ることを適正に評価するよう不動産業者に申入れ、不相当に高額査定がなされないよう留
意しました。
上記手続実施により、相手方への支払資金及び不動産評価に関する資料が揃ったため、相
手方代理人弁護士と遺留分侵害額の支払交渉を行い、多少の条件変動はあったものの、相
手方にも調停、訴訟に進むより合意により早期解決を図った方が合理的であるとの判断を
してもらうことができ、無事に和解成立に至りました。
担当弁護士からのコメント
本件は、遺留分侵害額請求の被請求者側の立場で、相手方との和解交渉を行った事例です。
遺留分侵害額請求については、行使期間の超過等の例外的事情がない限り、なかなか行使
自体を争うことが難しく、基本的には、相手方の遺留分侵害額請求権行使が適法であるこ
とを前提として、その支払額等の調整交渉を行うこととなります。
本件でも上記基本的な方針に基づき対応を進めましたが、当事務所が相談を受けた時点で
は、遺留分侵害額請求に対する支払原資もなく、不動産評価を巡る紛争余地もあったため、
この点について、早急に手当てを行うことを検討しました。
というのも、具体的な金額提示のある遺留分侵害額請求については、原則として、行使時
から遅延損害金等が加算されてしまうため、時間が経過すると、予想外に支払額が増加し
てしまい、余計不利な状況となってしまうため、早期交渉、早期和解が適当なケースが多
いものなのです。
本件では、相手方本人との間に感情面での大きな対立関係がなく、相手方弁護士とも穏当
な条件交渉ができる状況であったため、支払原資を確保し、客観的合理的資料を準備した
後では、比較円滑な交渉を行うことができ、最終的には双方納得の上、和解成立に至るこ
とができました。
遺留分侵害額請求権の行使を受けた、被請求者側の立場では、つい感情的に反発してしま
い、遺留分を巡る紛争が泥沼化してしまうケースもありますが、遺留分侵害額請求自体を
争うことはなかなか難しく、時間の経過により遅延損害金が大きく加算されてしまうなど、
解決がますます困難となってしまいがちです。
本件では、幸いにして、双方本人同士に大きな感情面での対立がなく、経済面での条件に
絞った合理的交渉を行うことができた事例で、遺留分侵害額請求事案の被請求者側の立場
では、このような対応が重要であることを再確認できる事案であると思います。

千葉県千葉市出身
平成11年 千葉市立稲毛高等学校卒業
平成15年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成16年 司法試験合格
平成17年 最高裁判所司法修習生採用(第59期、大津修習)
平成18年 弁護士登録(千葉県弁護士会)
千葉県市川市の弁護士法人リバーシティ法律事務所に入所
平成23年 法律事務所羅針盤開設に参加
平成29年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻(税法コース)修了
平成29年12月
~令和元年11月 総務省官民競争入札等監理委員会事務局政策調査官、同省公共サービス改革推進室政策調査官(併任)


