不動産の評価額について折り合いが付かない
はじめに
相続トラブルの多くは「不動産」が関係してきます。中でも、相続財産額における不動産の価格が多数を占めるケースが一般です。特に賃貸マンション、賃貸アパートなど収益不動産の場合、相続人間でその適正時価の評価額につき合意が得られないことも多いと思われます。
- ・故人が所有していた賃貸マンションや賃貸アパートを自分が相続して家賃管理しながら生活したい
- ・自分の収入源として、故人が所有していた土地を有効活用して賃貸マンションや賃貸アパートを建てたい
- ・他の相続人が自分の管理していた故人名義の賃貸マンションや賃貸アパートを管理した上、遺産分割で自分のものとして取得しようとしている
一般の方の場合、相続の当事者になることは多くありませんし、相続トラブルともなれば、初めての経験という方がほとんどです。しかも、被相続人が収益不動産を所有している場合、複数の法的トラブル(不動産の評価額、賃料収入の分配や管理方法など)が同時に発生するため、これらに対応するため同時並行で法的手続を進めていく必要があります。
不動産の評価額についてよくあるお悩み
当事務所には、不動産の評価額をめぐって次のようなお悩みをお持ちの方がご相談にいらっしゃいます。
・相続財産に不動産が含まれており、どの評価額を使えばいいかわからない
・相続人間で不動産の評価額の意見が合わず、遺産分割協議が進まない
・他の相続人が提示した評価額が不当に低く(または高く)、納得できない
・収益不動産(アパート・マンション)を相続したが、評価や分割方法がわからない
・不動産を売却して分けるか、一人が取得して代償金を支払うか決まらない
・不動産の評価額について、専門家の意見を聞いた上で交渉に臨みたい
不動産の評価額は、どの基準を用いるかによって数百万円から数千万円単位で差が生じることがあります。
正確な知識を持ったうえで交渉に臨むことが、自分の権利を守るための第一歩です。
不動産の評価額の種類
不動産の「評価額」には複数の種類があり、それぞれ用途と算定方法が異なります。
相続の場面では、どの評価額を使うかが遺産分割の結果を大きく左右します。
① 時価(実勢価格)
実際に市場で売買されている価格です。
実務上は、不動産会社による査定や不動産鑑定士による鑑定によって算定されることが通常です。
遺産分割においては、この時価(実勢価格)を基準とすることが一般的です。
ただし、査定する業者や方法によって金額が異なるため、相続人間で争いになりやすい評価基準でもあります。
② 路線価(相続税評価額)
国税庁が毎年公表する「路線価」をもとに算定する評価額で、主に相続税の計算に使用されます。
時価の概ね 80%程度が目安とされており、時価より低くなる傾向があります。
遺産分割の基準として用いることもありますが、実態の市場価値とのズレが大きい場合は争いの原因になります。
③ 固定資産税評価額
市区町村が固定資産税の課税のために算定する評価額です。
時価の概ね 70%程度とされており、3 年に 1 度見直されます。
固定資産税の計算や不動産取得税の算定に使用されますが、
遺産分割では実勢価格とかけ離れているとして争いになるケースがあります。
④ 公示価格
国土交通省が毎年公表する標準的な土地の価格です。
一般的な取引価格の目安として参照されます。
遺産分割における評価額の基準
遺産分割においては、法律上「どの評価額を使わなければならない」という明確な規定はなく、
当事者間の合意によって決まります。
合意できない場合は調停・審判で裁判所が判断することになります。
裁判所の判断手続に至る場合は、分割時点における時価(不動産鑑定士の鑑定評価)が重視される傾向があります。
収益不動産を調査する
まずは、収益不動産の評価調査をすることが必要です。
収益不動産の場合は、居住用不動産とは違い、評価額は収益価格(収益利回り)をベースに算定されることも多くあります。
評価額算定の前提として、賃貸条件、管理状況などをしっかりと把握する必要があります。
特に、管理にまったく関与されていなかった相続人は、現実に管理している他の相続人に対し、
資料や報告を求めるなどして、しっかり情報収集しなければなりません。
収益物件に関し、金融機関からの借入が残っている場合には、返済額と収益が見合っているかも検討する必要があります。

収益不動産の相続トラブル
遺産分割
遺産分割協議が成立した後は、その遺産分割によって収益不動産の所有権を取得した相続人が、
収益不動産から生じる家賃や地代の所有権も取得します。
管理・修繕費用も収益不動産の所有者となった相続人が負担することになります。
しかし、遺産分割においては、収益不動産の評価方法が複雑になり、
この評価方法をめぐり、相続人間で激しい議論がなされることになります。
① 収益不動産の評価(時価)と相続税申告評価が乖離している
収益不動産を相続する場合相続税申告をすることが必要です。
相続税申告評価額は、公示地価の概ね8割を目途に設定される路線価を基礎にして算定されます。
さらに、小規模宅地等の特例に代表される不動産の評価を減額する特例が数多く存在していますので、
もともと路線価をベースに算定された評価額がさらに減額されています。
② 収益不動産の評価額から債務を差し引くと主張している
収益不動産に融資・保証金等の相続債務がある場合、この問題も遺産分割と併せて解決する必要があります。
よくあるのが、収益不動産を相続する相続人が債務も相続することを前提として、
収益不動産の評価額から債務を差し引くという主張です。
一見として親切な提案ですが、時価よりも安く評価した収益不動産の評価額から時価の債務を差し引くことになり、
収益不動産の評価額は相当低額になってしまい、相続分を大幅に減らされてしまいます。
遺産分割以外
① 収益物件の管理・賃料回収を遺産分割と同時に並行する必要がある
相続開始から遺産分割協議が完了するまで、収益不動産は相続人全員で共有物であり、
賃料は各相続人が相続分に応じて取得することになります。
また、その管理や修繕にかかる費用も共同で負担すべきということになります。
ただ、相続開始後、一般に被相続人の口座は凍結され、入出金ができなくなることがあります。
この場合でも賃料は継続的に発生しますから賃料の振込口座をどうするか、だれが管理するのか等が問題になります。
よくあるケースは、相続人間で賃料振込口座の調整がつかず、賃借人から賃料の振込を受けられない状況が続いてしまい、
結果的に賃料の回収が難しい状況となってしまったり、嫌気のさした賃借人が退去してしまったりすることです。
一般的な解決方法として、賃料の収受その他の賃貸物件の管理について、相続人間で暫定的な合意を行い、
最終解決までの間も、現在進行形の管理だけはできる状態をつくることです。
② 相続税等の税務申告・納税のための協議が必要
相続税の申告・納税は、原則、相続開始から10か月以内に行わなければなりません。
相続税の申告・納税期限までに遺産分割協議が成立しなかった場合、
未分割のまま各相続人が法定相続分で相続をしたとの内容で相続税の申告・納税を行う必要があります。
しかし、遺産である預貯金を解約・払い戻しするためには相続人全員の協力が必要であり、
相続税申告期限までに遺産分割を終わらせる必要があります。
一般的には、遺産に含まれる預貯金が原資として納税資金となります。
相続税申告を伴う遺産分割が紛争化した場合は、期限までに合意を取り付けて相続税を申告・納税することは困難です。
法律上、遺産分割前の相続預金の払戻し制度があり、各相続人は単独で一定金額までの払い戻しを請求することも可能ですが、
必要となる納税資金の程度によっては、やはり早期の遺産分割を目指すべき場合もあるため、
計画的な手続進行を行うことが望ましいといえるでしょう。
不動産の評価額に関して弁護士に相談するメリット
不動産の評価額をめぐる問題は、法的知識と専門家ネットワークの両方が必要な分野です。
弁護士に依頼することには、次のようなメリットがあります。
適正な評価額を把握した上で交渉できます。
弁護士は不動産鑑定士と連携して適正な評価額を算定し、
それをもとに相手方との交渉を進めます。
相手方が不当に低い(または高い)評価額を主張している場合、
法的根拠に基づいて反論することが可能です。
複雑な法律論に対応できます。
収益不動産の評価・代償分割における代償金の算定・遺留分計算における評価額の取り扱いなど、
専門的な法律知識が必要な場面で適切な主張ができます。
調停・審判でも一貫して対応できます。
交渉がまとまらず調停・審判に移行した場合も、引き続き同じ弁護士が対応するため、主張の一貫性が保たれます。
税理士・鑑定士との連携でワンストップ対応ができます。
不動産鑑定士・税理士・司法書士と連携した体制を整えている弁護士であれば、
評価額の算定から遺産分割協議・相続税申告・登記手続きまで、
一連のサポートをワンストップで提供することができます。
実際の解決事例
【事例①】評価額の争いを不動産鑑定で解決
ご依頼者(50 代・男性)は、相続財産に含まれる収益マンションの評価額について、
他の相続人が敷地土地について路線価(相続税評価額)を主張し、
ご依頼者は時価での評価を求めて協議が膠着状態となっていました。
当事務所が不動産鑑定士に鑑定を依頼し、時価ベースの評価額を算定した上で交渉に臨んだ結果、
時価に近い評価額を採用した代償分割で合意に至り、
依頼者は相応の代償金を取得することができました。
【事例②】賃料収入の独占を是正し適正分配を実現
ご依頼者(60 代・女性)は、被相続人が所有していた賃貸アパートの賃料収入を兄が相続発生後から
一人で管理・収受しており、適正な分配がされていませんでした。
当事務所が相続開始後の賃料収入の明細開示を求め、
調停手続きを通じて賃料収入の精算と適正な遺産分割を実現しました。
【事例③】代償金額について合意を成立させ早期解決
ご依頼者(40 代・男性)は、被相続人から相続した収益不動産を
引き続き保有して運用したいと考えていましたが、
他の相続人との間で代償金の金額交渉が難航していました。
当事務所が不動産の収益性・市場価格・将来の修繕リスクを考慮した適正な代償金額を提案し、
約 4 ヶ月で全相続人の合意を得ることができました。
当事務所の特徴
相続分野に注力した弁護士が直接対応します。
法律事務所羅針盤は、相続・遺産分割を重点取扱分野とする法律事務所です。
代表弁護士をはじめ所属弁護士 3 名(本田陽一・本田真郷・大月裕哉)が、
相続問題の解決に豊富な経験を持ちます。
相談から解決まで、弁護士が一貫して対応しますので、途中で担当が変わることはありません。
市川・船橋エリアの地域密着型事務所です。
千葉県市川市に事務所を構え、
JR 本八幡駅から徒歩 4 分・京成八幡駅から徒歩 2 分・都営新宿線本八幡駅から徒歩 2 分とアクセス良好です。
市川市・船橋市はもちろん、浦安市・千葉市・江戸川区・葛飾区・江東区など、
近隣エリアからのご相談も多く対応しています。
初回相談 60 分無料・明瞭な料金体系です。
「相談したいけれど費用が心配」という方も、まずは無料相談をご利用ください。
ご相談の内容をお聞きした上で、とるべき戦略・今後の見通し・費用のお見積りをご提示します。
着手金・報酬金の体系も明確にお伝えしますので、費用面の不安なく依頼の検討ができます。
地元の専門家と連携したワンストップ対応が可能です。
相続税申告が必要なケースでは、提携する税理士との連携により、
法律面と税務面を一体的に解決することができます。
司法書士との連携による不動産登記のサポートも行っています。
収益不動産を含む不動産相続トラブルの無料相談受付中!
収益不動産の相続トラブルにおいては、相続税申告を税理士、不動産の調査を不動産業者にそれぞれ依頼し、
これらの専門家と弁護士が意思疎通を図りながら、案件を進める必要があります。
当事務所では、税理士・司法書士・不動産会社等との連携により、お客様のニーズに幅広くお応えできる体制を整えています。
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