市川・船橋で相続の相談をしたい方は、法律事務所羅針盤にご相談ください。JR本八幡駅徒歩4分/京成八幡駅徒歩2分/都営新宿線本八幡駅徒歩2分

オンラインでの
お問い合わせ24時間対応
お電話でのお問い合わせ
047-320-0023
受付時間/9:30〜17:30(土日祝定休)
LINE

疎遠な相続人がいる場合の連絡・調査・解決方法と弁護士に相談するメリット

1.なぜ「疎遠な相続人」が遺産分割を難しくするのか

相続が発生した際、相続人同士が長期間にわたり音信不通であったり、感情的な対立があったりして、疎遠な関係にある場合、遺産分割手続の進行に大きな支障が生じます。

これは、法律上、遺産分割協議には相続人全員の合意成立が必要とされているためです。

 

この全員合意の原則があるため、疎遠な相続人が一人でもいると、以下のような深刻な問題が発生し、相続手続全体が進行不能となってしまいます。

 

①連絡先の特定から意思確認までの困難

疎遠な相続人がいる場合、まず現住所や連絡先が不明であるケースも多くあります。たとえ戸籍調査によって住所を特定できたとしても、以下の問題に直面します。

②連絡の無視・放置

疎遠な相続人は、手続き自体への関心が薄く、他の相続人からの連絡を無視したり、「自分には関係ない」と放置したりして、そもそも遺産分割協議にならないケースが生じがちです。

③不信感による膠着

相続人相互が不信感を抱いているケースも多く、この場合、提示された遺産目録や評価額を信用せず、合意を拒否したり、遺産分割協議書への押印を拒否したりすることが生じがちです。

 

これらの結果、遺産分割協議が進行不能となり、預貯金や不動産といった資産を有効活用したり、売却したりすることができず、相続税の申告期限(相続開始から10か月が基本)に間に合わなくなるリスクも生じます。

 

2.遺産分割をスムーズに進めるための初期対応

疎遠な相続人がいる場合、感情的な交渉を避け、迅速に法的手続きへ進めるための初期対応が成功の鍵を握ります。

(1) 弁護士による所在調査

遺産分割を進める第一歩は、疎遠な相続人の所在や現住所を正確に把握することです。

具体的には、相続関係調査に際して、まずは相続関係を確認し得る戸籍謄本等に加え、対象となる相続人の戸籍附票を取得し、当該相続人の現住所を特定します。

(2)代理人弁護士名義での書面送付

対象となる相続人の現住所が判明したら、まずは書面(手紙)を出してみることが通常です。

従来の経緯等から直接書面を出すことに抵抗や支障がある場合は、代理人弁護士名義で連絡書面を出すことも検討しましょう。

書面を出す際は、以下の事項を記載することが望まれます。

①書面発送時点で把握している相続財産の概況

②予定している手続の概要

③遺産分割方法に関する意見・希望

 

3.疎遠な相続人がいる場合の対処法

書面による連絡等に対して回答がない場合、または遺産分割の進行に非協力的な回答があった場合は、法的手続を通じた解決を検討します。

(1)遺産分割調停を申し立てる(連絡はとれるが非協力的な場合)

疎遠な相続人が連絡先を把握しているにもかかわらず協議を拒否している場合は、速やかに家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。

調停が始まると、裁判所から相続人全員に呼出状が送付されます。直接連絡が着かなかった相続人でも裁判所からの呼び出しには応じる場合もあります。

また、調停手続上では、調停委員が間に入って話し合いの取り持ちを行うため、感情的な対立が生じにくく、客観的な観点から手続進行を図ることが期待できます。

 

もし調停が不成立に終わった場合、自動的に遺産分割審判へ移行します。審判では、裁判官が法的な公平性に基づき、遺産分割の方法(例えば、代償分割や換価分割など)を決定し、法的強制力を伴う審判を下します。これにより、非協力的な相続人がいても、遺産分割の実現を図ることができます。

 

(2)不在者財産管理人の選任を申し立てる(所在不明の場合)

相続人の現住所が特定できず、長期間にわたり生死も不明な相続人がいる場合は、その人に代わって手続きを進める必要があります。この場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます。

 

選任された不在者財産管理人は、行方不明の相続人の代理人として、他の相続人と遺産分割協議や調停に参加します。管理人は、裁判所の許可を得て、行方不明者の利益を最大限に守りながら手続きを進めます。この手続きを経ることで、行方不明の相続人がいるという法的障壁を乗り越え、遺産分割を実現させることが可能になります。

 

4.疎遠な相続人がいる場合に弁護士に相談するメリット

疎遠な相続人がいる場合の遺産分割は、手続きの煩雑さ、感情的な難しさ、そして法的リスクの高さが混在しています。弁護士に依頼することにより、これらの課題に適切にアプローチし、解決に向けて確実な手続進行を図ることが可能となります。

 

①交渉のプロによるトラブル回避

お客様が直接、疎遠な相続人と連絡を取ることで生じる感情的な対立や、交渉決裂のリスクを完全に回避できます。弁護士が冷静に、法的な権利義務に基づいた交渉を主導し、合意形成へと導きます。

②特殊な調査と法的手続きの迅速化

戸籍附票の取得を通じた現住所特定や、不在者財産管理人選任といった、一般の方には困難な裁判所への特殊な手続きを迅速かつ正確に代行することで、遺産分割手続の遅滞を最小限に抑えます。

③遺留分や寄与分などの法的リスクの事前評価

疎遠な相続人がいるケースでは、相続人相互に不信感があったり、手続の進行よりも自己の権利主張を優先したりすることが見られがちで、寄与分や特別受益などの主張がなされることも多いものです。弁護士は、手続きを進める前に法的紛争リスクを評価し、リスクの程度を踏まえて、調停手続、審判手続の進行を図ります。

④精神的な負担からの解放

代理人である弁護士に手続進行を依頼することにより、長年のわだかまりを持つ親族との連絡や裁判所とのやり取り、複雑な書類作成などの雑事から解放され、安心して結果を待つことができます。

 

5.当事務所のサポート内容

当事務所では、遺産分割を含む相続手続全般について、豊富な取り扱い実績があります。

連絡を無視・拒否する相続人がいる、などのご相談についても、全体の状況を的確に分析した上、ご相談者様が取るべき最適な手続方針をご提案申し上げますので、是非お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者
法律事務所羅針盤 弁護士 本田 真郷
保有資格弁護士、中小企業診断士、マンション管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
専門分野相続
経歴

千葉県千葉市出身
平成11年 千葉市立稲毛高等学校卒業
平成15年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成16年 司法試験合格
平成17年 最高裁判所司法修習生採用(第59期、大津修習)
平成18年 弁護士登録(千葉県弁護士会)
千葉県市川市の弁護士法人リバーシティ法律事務所に入所
平成23年 法律事務所羅針盤開設に参加
平成29年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻(税法コース)修了
平成29年12月
~令和元年11月 総務省官民競争入札等監理委員会事務局政策調査官、同省公共サービス改革推進室政策調査官(併任)

専門家紹介はこちら