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被相続人名義の預金口座からの相続前出金について、特定相続人への生前贈与にあたるとして遺留分侵害額請求を行った事例

依頼者属性

  • 年齢・性別:60代・男性
  • 被相続人との関係:子
  • 相手方:相談者の妹
  • 居住エリア:千葉県
  • 争点: 遺留分侵害額請求の対象となる基礎財産の範囲

相談から解決までにかかった期間

約1年

相談に至った経緯

被相続人である相談者の亡母が亡くなり、相続が開始しました。相談者は、被相続人には数千万円程度(金融資産)の相続財産があると考えていましたが、被相続人と同居していた相続人の妹(相手方)から開示された相続財産は約300万円程度の預貯金のみでした。

不審を抱いた相談者が預貯金履歴を調査したところ、被相続人の相続開始前の約5年間の間に数千万あった金融資産の大部分が解約払い戻され、被相続人の口座から出金されていることが判明しました。

相談者が相手方に対して、このような出金状況について説明を求めると、相手方は、被相続人は相手方に全財産を残す旨の自筆証書遺言があるので、詳細を説明する必要がないとして説明を拒否しました。

そこで、相談者は、このように被相続人の口座から出金された金員等について、自己の権利を主張できないかと考え、当事務所に相談しました。

相談を受けた当事務所が相手方の財産状況について調査したところ、相手方が居住する自宅不動産は、被相続人の金融資産が出金された時期とほぼ同じタイミングで購入されたものであり、しかも住宅ローン等が組まれた形跡もないことが判明しました。

そこで、当事務所は、被相続人の遺言(この時点では検認済み)の内容を踏まえると、上記の出金等がいわゆる不正出金とまでは認めにくいものの、少なくとも相手方に対して相当額(出金総額から被相続人の生活費等に充てられたとみられる額を控除した金額)の生前贈与が行われたものとみて、生前贈与額を持ち戻した財産額を遺留分算定の基礎財産として、これに基づき算出した額(約1500万円)について、相手方に対する遺留分侵害額請求を行いました。

本件では、当初相手方が贈与を受けた事実を否定したため、交渉段階では決着せず、調停手続に至りましたが、調停段階で相手方が和解交渉に応じることとなりました。

その結果、請求額からは若干減額となったものの、相談者は最初に相手方から提示された金額(約150万円)の約7倍程度の金額の支払いを受けることができ、本案件は解決に至りました。

担当弁護士からのコメント

一般的に相続開始前の被相続人の預貯金口座からの出金は相続手続の対象とすることが困難であることが通常です。これは、相続開始前は、当該出金額が被相続人自身の生活費、医療費その他の使途に充てられたものである可能性を否定することが難しいためです。

本件では、相続開始前の出金額が極端に多く、被相続人自身の生活費等に全額が充てられたものとは思われない状況であったことに加え、(相談者にとっては幸運にも)相続人がその資金を充てたと思われる具体的内容(不動産購入)に目途が着いたことから、当該出金額の相当部分を遺留分算定の基礎財産に持ち戻すための理屈が成り立った事案でした。

相手方相続人の財産状況の調査には限界があるため、正直に言って運の要素もあるのですが、できることは全部やってみようとの考えで行った調査が奏功した事案と言えるかと思います。

この記事の執筆者
法律事務所羅針盤 弁護士 本田 真郷
保有資格弁護士、中小企業診断士、マンション管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
専門分野相続
経歴

千葉県千葉市出身
平成11年 千葉市立稲毛高等学校卒業
平成15年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成16年 司法試験合格
平成17年 最高裁判所司法修習生採用(第59期、大津修習)
平成18年 弁護士登録(千葉県弁護士会)
千葉県市川市の弁護士法人リバーシティ法律事務所に入所
平成23年 法律事務所羅針盤開設に参加
平成29年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻(税法コース)修了
平成29年12月
~令和元年11月 総務省官民競争入札等監理委員会事務局政策調査官、同省公共サービス改革推進室政策調査官(併任)

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