疎遠となっていた親族間の遺産分割協議の全体調整を行った事例

依頼者属性
● 年齢・性別:70代・男性
● 被相続人との関係:被相続人の弟
● 相手方:相続人10名(被相続人の甥姪。ただし具体的な対立関係なし)
● 居住エリア:東京都
● 争点:遺産分割協議の実現
相談から解決までにかかった期間
約5か月
相談に至った経緯
相談者は、被相続人の弟であったところ、被相続人には妻子がなく、相談者が唯一被相続人と音信のあった親族でした。
被相続人と相談者はもともと7人兄弟姉妹でしたが、相談者以外の兄弟姉妹は被相続人に先立ち逝去しており、相談者以外の被相続人の相続人は、被相続人及び相談者の甥姪10名でした。
被相続人には、遺言がなく、相当額の預貯金があったため、相続人間の遺産分割協議が必要となる状況でしたが、相談者は、相続人である甥姪らとは親戚付き合いをしておらず、連絡先すら把握していなかったため、手続をどのように進めていけば良いか悩み、当事務所に相談しました。
相談を受けた当事務所では、相続財産が預貯金のみであり、法定相続分での分割がしやすいこと、被相続人の相続人間は疎遠ではあったものの、険悪というわけではなく、必ずしも紛争性が高いわけではなかったことから、できる限り相続人間で円満な話し合いを行い、相続人全員の理解を取り付けた遺産分割協議の成立を目標として手続を進めることをご提案しました。
具体的には、まずは相続人の所在調査を行った上、相続手続の提案文書を送付することとしました。
提案文書には、相続発生の経緯、相続財産の状況や財産形成過程等の情報を広く記載した上、今後のスケージュールや各相続人の財産取得見込額なども記載し、相談者の誠実さができる限り各相続人に伝わるよう工夫することとしました。
その結果、相続人からの質問等の問い合わせは複数あったものの、法定相続分による遺産分割について、比較的短期間で相続人全員の承諾を取り付けることができ、遺産分割協議を成立させることができました。
なお、遺産分割協議成立後の預貯金口座の解約払戻手続及び各相続人に対する分配手続についても、相談者の希望により当事務所で実施させていただきました。
担当弁護士からのコメント
複数相続人がいるものの、遺言がない場合、原則として各相続人間の遺産分割協議が必要となります。
日頃から密に連絡を取り合っている親族ばかりが相続人であればそれほど問題とならないケースも多いですが、特に高齢の兄弟姉妹間の相続においては、日頃の付き合いが全くない親族同士が相続人となることもあり、話し合いを進めること自体にハードルがある場合も生じます。
このような場合は、本来、被相続人が遺言を作成することによって、相続発生後の相続人の負担を相当程度軽減することができますが、必ずしも多くの方が遺言を準備するわけではない実情もあります。
本件でも日頃は疎遠である親族同士が相続人となったケースでしたが、相談者ができる限りオープンかつ公正に手続を進めていきたいとの考え方であり、これを他の相続人も理解してくれたという状況もあり、比較的スムーズに遺産分割手続を進めることができた事例でした。

千葉県千葉市出身
平成11年 千葉市立稲毛高等学校卒業
平成15年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成16年 司法試験合格
平成17年 最高裁判所司法修習生採用(第59期、大津修習)
平成18年 弁護士登録(千葉県弁護士会)
千葉県市川市の弁護士法人リバーシティ法律事務所に入所
平成23年 法律事務所羅針盤開設に参加
平成29年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻(税法コース)修了
平成29年12月
~令和元年11月 総務省官民競争入札等監理委員会事務局政策調査官、同省公共サービス改革推進室政策調査官(併任)