遺産相続で相手方に弁護士が付いたら?リスク・注意点と対抗策のすべて
「ある日突然、見知らぬ法律事務所から『受任通知』という封筒が届いた」
「疎遠だった兄弟が弁護士を立てて、遺産分割の要求をしてきた」
相続において、一方が弁護士を立てることは「もはや当事者間での話し合いではなく法的に手続を進める」という意思表示です。ここからは、親族間の感情論ではなく法律というルールに基づいた遺産分割交渉が始まります。
相手方の弁護士は、あくまで相手方の利益を最大化するために動く相手方の利益擁護者であるプロです。あなたが適切な対策を講じなければ、不利な条件で遺産分割が進んでしまう危険性があります。
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遺産相続で相手方に弁護士が付いたときに生じるリスク
相手方に弁護士がついた状態を放置したり、丸腰で対応したりすることには、以下のような高いリスクが伴います。
① 「法的妥当性」という武器で主導権を握られる
弁護士は、過去の判例や法的知識経験等に基づき、相手方にとって最も有利な分割案を法的に正当なものとして提示してきます。法知識のない個人がこれに論理的に反論することは簡単ではなく、十分な反論ができないことにより、結果として相手方のペースで遺産分割案が確定してしまうリスクがあります。
② 徹底的な調査による追及
相手方の弁護士は職務上の権限・ノウハウを活用して、被相続人の生前の預貯金履歴などを詳細に調査してくることが想定されます。もしあなたに使い込みの疑いを掛けるべき事情がある場合、過去10年分などの通帳履歴を精査し、使途不明金を厳しく追及してくることが予想されます。
③ 期限の切迫と心理的プレッシャー
弁護士からの書面には通常「〇日間以内に回答されたい」といった期限が設けられています。これに応じない場合、即座に遺産分割調停などの法的手続に踏み切られる可能性が高く、相続手続に関する十分な知見を持っていないと、良く分からない手続が次から次への現れることにより、精神的に追い詰められることになります。
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遺産相続で相手方に弁護士が付いたときの注意点
相手方に弁護士がついた直後の「最初の一歩」を間違えると、後からの修正は極めて困難です。以下の3点は、自分の権利を守るための鉄則として心に刻んでください。
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連絡を無視することは避ける
「怖いから」「納得いかないから」と無視を続けることは、状況を悪化させてしまうケースが多いものです。無視を続けると、弁護士は「協議による解決は不可能」と判断し、早々に家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てるでしょう。裁判所からの呼び出しを受けることになれば、手間も時間も増大し、あなたが「非協力的である」という印象を不用意に裁判所に与えかねません。
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相手方(本人)への直接の連絡は避ける
弁護士が受任した後は、すべての窓口は弁護士に一本化されます。ここで感情的になり、相手方本人(兄弟など)に電話をして「なぜ弁護士なんて立てたんだ!」と問い詰めることは、さらなる関係悪化を招くだけです。最悪の場合、その発言が脅迫・強要などと評価され、調停や審判であなたに不利な証拠として提出される恐れがあります。
相手方の弁護士からの質問に対して不用意に回答することは避ける
相手方の弁護士から「生前の預金の引き出しについて説明してください」といった質問が来ることがあります。これに対し、十分な準備や資料の確認なしに安易な回答をしてはいけません。
不用意な一言が「使い込みを認めた」と解釈されたり、後の主張と矛盾したりすると、取り返しのつかない不利益を被ります。回答は、必ず専門家の助言を得てから行うようにしましょう。
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遺産相続で相手方に弁護士が付いたら自分も付けるべきか
結論から申し上げれば、相手方に弁護士がついた以上、あなたも弁護士を立てるべきです。
多くの方にとって、遺産分割協議が初めて経験する法的手続であり、裁判所等の慣れない場、慣れない法律用語が頻出することに戸惑うことが多いでしょう。双方とも本人での手続であれば、ある意味お互い様ですが、片方は十分な経験を有する弁護士を付け、安心して手続を進めているのに対し、他方は慣れない環境下で、知識も経験も不十分のなか自分で手続を進めなければならない状況となることは、一般的に極めて不利な立場に立ってしまいがちです。その結果、本来、何気ない一言であるはずの調停委員の発言に過度に反応してしまい、不用意な対応をしてしまったり、落としどころが見えなくなってしまったりすることなどが生じてしまいます。
相手方に弁護士が付いている場合、あなたも弁護士を付けることにより、対等な立場で遺産分割協議に臨むことが望ましいと言えるでしょう。
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遺産相続問題で弁護士に依頼するメリット
相続問題で弁護士を味方につけるメリットは、単なる「書類作成」にとどまりません。
① 精神的ストレスの劇的な軽減
相手方の弁護士とのやり取り、厳しい質問への回答、煩雑な書類の整理。これらすべてを自分の弁護士が引き受けます。あなたは日常生活を送りながら、重要な判断のみを行えばよくなります。相手からの攻撃を弁護士という盾で防ぐことができるのです。
② 隠された権利(寄与分・特別受益)の適正な主張
「親の面倒を最後まで見た(寄与分)」「相手は生前に家を買ってもらっている(特別受益)」といった主張を、法的に認められる証拠と共に提示することと検討できます。自分で行うと「わがまま」に見えかねない主張も、弁護士が論理的に構成すれば強力な武器(主張)になり得ます。
③ 紛争の早期解決と「審判」を見据えた戦略
弁護士は、交渉が決裂して裁判手続(調停・審判)になった際の結果を予測しながら交渉を進めます。そのため、裁判手続に進んだほうが得か、今の条件で和解すべきかについて、未来予測を踏まえた最善の提案を行うことができます。
当事務所のサポート内容
当事務所では、遺産分割を含む相続手続全般について、豊富な取り扱い実績があります。
相手方に弁護士が付いた場合でも、全体の状況を的確に分析した上、ご相談者様が取るべき最適な手続方針をご提案申し上げますので、是非お気軽にご相談ください。

千葉県千葉市出身
平成11年 千葉市立稲毛高等学校卒業
平成15年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成16年 司法試験合格
平成17年 最高裁判所司法修習生採用(第59期、大津修習)
平成18年 弁護士登録(千葉県弁護士会)
千葉県市川市の弁護士法人リバーシティ法律事務所に入所
平成23年 法律事務所羅針盤開設に参加
平成29年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻(税法コース)修了
平成29年12月
~令和元年11月 総務省官民競争入札等監理委員会事務局政策調査官、同省公共サービス改革推進室政策調査官(併任)


