相続財産である不動産の売却について、相続人間で売却条件に関する合意を成立させ、不動産売却を実現した事例
依頼者属性
● 年齢・性別:70代・女性
● 被相続人との関係:被相続人の配偶者
● 相手方:子2名
● 居住エリア:千葉県
● 争点:被相続人名義の不動産売却
相談から解決までにかかった期間
約10か月
相談に至った経緯
被相続人である相談者の夫は、収益不動産(アパート)を所有していました。
被相続人の遺言はなく、相続人である相談者とその子2名が遺産分割協議を行うこととなりましたが、収益不動産の取得を巡って話し合いが難航し、収益不動産を売却する方向で遺産分割協議を進めることとなりました。
ところが、売却希望条件や依頼する不動産仲介業者についても、相続人間で意見が対立し、それ以上遺産分割協議が進まない状況となり、その間の家賃の収受や不動産管理にも支障が生じる状況となってしまいました。
このような状況で相談を受けた当事務所は、不動産売却に関する各相続人の意向を改めて確認しました。
そうしたところ、売却を志向する方向性では各相続人の考え方が一致していることから、公平適正な売却条件を設定すれば遺産分割協議を進めることができるものと判断し、相続人間の調整を行うこととしました。
相続人間の調整には一定期間を要しましたが、各相続人が自身が希望する不動産仲介業者に自由に依頼できることを前提として、不動産売出価格、売出期間、複数の購入希望者が現れた場合の買主の決定方法、その間の不動産管理の方法などに関して、相続人間の合意を成立させることができ、この合意に基づき、複数の不動産仲介業者を通じて不動産を売り出すことができました。
その結果、売出から2か月程度で買主の決定に至り、不動産売却を実現させ、遺産分割協議も成立しました。
担当弁護士からのコメント
相続不動産の売却は、相続人全員が協力して売却する必要があります。
相続不動産を売却すること自体は相続人の考え方が一致している場合でも、売却価格や買主の決定について、1人でも異なる考え方の相続人がいた場合は相続不動産の売却を実現することができません。
本件では、相続不動産の売却に関する各相続人の考え方を丁寧に聞き取り、全員が納得することができる範囲で約束事(合意事項)を設定し、その約束事(合意事項)に基づき相続不動産の売却手続を進めることについて、相続人間の理解を取り付けることができました。
根本的な解決方法がなかなか難しい問題ですが、誠実で丁寧な交渉が重要であることを改めて認識した事案でした。

千葉県千葉市出身
平成11年 千葉市立稲毛高等学校卒業
平成15年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
平成16年 司法試験合格
平成17年 最高裁判所司法修習生採用(第59期、大津修習)
平成18年 弁護士登録(千葉県弁護士会)
千葉県市川市の弁護士法人リバーシティ法律事務所に入所
平成23年 法律事務所羅針盤開設に参加
平成29年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻(税法コース)修了
平成29年12月
~令和元年11月 総務省官民競争入札等監理委員会事務局政策調査官、同省公共サービス改革推進室政策調査官(併任)